リサイクル親父の日記

第13話 売れたのは良いんだけど、買われた理由に笑ったよ

2015/02/12

年末年始の頃に俺の洋服の始末をした。
リサイクルショップをやってからここ15年以上も着ないスーツ類を処分した。
処分は簡単だし、いわゆる店での再販にまわした。

幾らかにでもなれば幸いだし、そもそも商売として他人様の物をたくさん扱ってることでもあるし・・・
自分の物を商品とすることに抵抗は全く無いし、以前にも靴屋などを販売した。  
スーツやブレザー、スラックス、防寒コートなど20点以上になる。

リサイクルショップではジーパンオンリーに近い、スーツなんてあり得ない。
そんな日常でも1~2着は持ってないといざという時に困るから、着易い物を残した。
販売価格は安くしてるが、売場に陳列するとやっぱり少し恥ずかしさも照れもある。

最初の頃は売れるかどうか気になるが、日が経てば忘れてしまい普通の商品と変わらなくなる。
女性客が俺のスーツ、女用靴、白Tシャツ、ワイシャツと混沌的まとめ買いをする。
二つ三つくらいの複数買いであれば統一感なんてなくても気にならない。

しかし、合計10点以上でカオスなのだ、これは不思議極まりない、どうしても理由を知りたい。
「あの~ちょっと聞いてもよろしいですか・・・」俺には珍しくやんわり訊ねた。
「劇団で使うんです・・・私は道具係で・・・昔の、当時の時代衣装とかを探してまして・・・」

「すると演劇ですよね、いつ頃の時代設定ですか?」
「昭和初め頃ですね、探すの難しくって・・でも男物の服が見つかって、助かりました」
「そりゃ良かった、今度観に行きたいですね」と俺はリップサービスしちゃいました。

彼女が帰った後に複雑な気分になった。
そのスーツは俺が15年前までは着てたし、昭和初めじゃないよって言いたかった。
確かに、当時(俺が買って着てた頃)はプレーンで落ち着いた色、そうダークグレーにしてた。

鼠色、俺の場合はドブネズミ風に見られてたかもしれない。