リサイクル親父の日記

第19話 ・・・レスだよって威張られてもしょうがねぇ

2015/02/18

レジ前に来ると唐突に話しかけてきたおっさん。
「エアコン、幾らするんだ!?」と値段を聞いてきた。
値札が付いてるのに目に入らないお客さんは結構いる。

「XXXX円に消費税ですから、合計するとXXXX円になります」と説明したら、おっさんは一気にまくし立て始める。
「インターネットでさ、こんな近くに店がったとは、俺は直ぐ近くで電気屋やってんだ・・・ここ分かり難いよな」
確かに、国道4号線バイパス沿いではあるが敷地の奥側に位置してるし、目立たない。

「・・う、うん・・在庫は結構あるんだ・・・俺はネットでだけで仕入れしてさ・・震災後にエアコンも取り付けが増えてや・・それでここにもあるんだな・・・いや~」
俺の顔を見ながら止めどなく話が続いてる、やがてパターン化して繰り返しになってきてた。

こんな思いをしちゃいけないがウザクなってくるし、他のお客さんもいるから聞いてばっかりいる訳にはいかない。
「ところで、近くって何処ですか?」と話題を変えてあげた。
ン!ウン!!と顔をそらしながら、「・・ショッ・・プ・・レ・・ス・・だよ」と少々ぶっきら棒に答えてきた。

俺にはおっさんが発したカタカナ言葉が意味不明で非常に不釣り合いで似合わないと思えた。
「エッ、何ですって??よく聞こえないんですけど・・・」と追及した。
「ショップレス!店は持ってねぇ、自宅で出向いてやってんだよ!」

なるほど、俺は合点した、ショップレスね。
しかし難しい言い方をよく使えるもんだと感心した。
「あれだな、ネットの方が少し安いな・・でも、面倒だし、ここで買うかな・・・後でいつか買いに来るよ」

そうしておっさんは店から消えた。
リサイクルショップ開業時から、いわゆる個人経営電気屋さんが売り込みに相当数やって来た。
俺と同じ自営業者であるが、修理したテレビの売り込み、ヒーター修理の売り込みなど家電修理が主だった。

彼らが修理を終えて卸売りすることで稼ぐ訳だが、減価はゼロで修理工賃プラスアルファが丸儲けになるということだ。
ところが総じて皆セコイという印象が強い。
俺の買う側としてネゴってて細か過ぎるのと責任を取らない姿勢に嫌気がしたもんだ。

実は修理品は完璧に復旧しないと意味が無いが、最初だけ良くて数日で故障再発なんてかなり多い。
だから、彼らの論理に振り回されてお客さんに失礼をしてしまったことが何度かあった。
それ以来、彼らとは一切縁を切った。

ショップレス・・・というよりワークレスなんじゃないのおっさん!