2015/03/02
ここんとこ見えないなぁ~~と思う常連さんは結構いるものだ。
暇な時ほど常連さんを思い出しては安否を気遣うが、その時だけってのが普通でもある。
店がそれなりに忙しげになれば忘却の彼方と化す俺の独善か。
開店以来だからもう15年来、お婆ちゃん方は連れだって、或はご主人と、友達とチョコチョコ来てくれる。
手が効くので毛糸、着物を買ってセーターを編んだり、洋装に仕立てたりと楽しんでる。
激安バラ食器も大量買いするのは、漬物などのおすそ分け容器としてだ、容器ごとあげてしまうからグッドアイデアである。
身の周りの家電や家具も買うけれど、なにせお年寄りなので、使い方を教えるのに苦労する。
お婆ちゃん2人は家が道路を挟むお向かいさんの関係。
1人は運転するから、も1人のために荷物を積んであげたりしている。
「あれぇ~~~お久しぶりですね、1年ぶりくらいかしら・・」俺は2人挨拶した。
「・・ウン、お父さんが亡くなって・・やっと49日も終わってさ・・・」と1人が言った。
「わたしんとこは・・・ちょうど1年前にさ、お父さん亡くなってよ」
2人ともご主人を亡くしたという割には淡々と話す。
かなりなお歳だったし、それはそれで運命だろうし、淡々と受け入れてる。
「それじゃ、2人ともが1人暮らしになったんですか・・振り込め詐欺に気をつけてね」
俺が老婆心だしてどうすんだよと思いつつ諭してしまった。
だって、こちらのお婆ちゃん達は2人ともお金持ちの部類なので、時々お金の自慢話を聞かされていた。
子供さん達は独立してるから、老夫婦での生活だったのだ。
「そうだよ・・銀行に預け説くのが一番だよ・・」
とか、「わたしゃ・・金んなって全然・・ありましぇん・・」と言い合ってる。
すると、1人がね話し始める。
「お父さんがね、食う心配ないように・・借家とマンションを残してくれてね・・だから心配ないの・・・」
するともう1人が、「貯金が・・使わないけど・・・まぁ、一生心配ないけどね、先も長くないしさ」
「だから、振り込め詐欺だけは本当に気をつけて下さいね」重ねて俺は注意してしまった。
「息子にはさ、金は使ってもいいけど、再婚だけはしないでくれって言われたの」
「わたしらが死んじゃうとさ、遺産相続がおかしくなるからね」
と2人は真面目にそれを語り合ってた。