リサイクル親父の日記

第32話 妃のような御振舞いに呆れちゃいますが・・・

2015/03/04

その電話はお父さんからだった。
「冷蔵庫と洗濯機、それに電子レンジ・・2年前に買って・・・ベットの鉄製枠なども・・・」
話がまとまったから住所を訊ねたら、「仙台市の青葉区大手町の・・1、いや2だったかな・・8の・・」

こんな住所も忘れるようでは困ってしまうし、俺も不安が増大する。
「あの~~ご自分のモノなんですか・・」と更に聞いたら、「娘が住んでましてね、その時に買ったんで・・」
「ベットはバラしておきますから、なんとか全部、持って行って欲しんです」

当日の朝、一通で建て込んだビル街の細く背の高い賃貸マンション前にトラックを路駐した。
どうやら管理人らしき中年男性が建物の前面を拭き掃除や見回りをしてた。
「どこへ来たの?」と聞かれたので、部屋番号と名前を告げると、「あの娘さんね、引越しだよね」と念押しをした。

古いビルだからしょうがないが、エレベーターもギシギシきしむ感じで少し不気味だ。
エレベーターを降りて通路に出る境に段差がある、古いとどうしてもこんな段差が見受けらるる。
台車を使う時にこのちょっとした段差が非常に面倒なのだ。

その度毎に台車から外す必要があるから、玄関やロビー、通路際などに多い。
インターホンを押すと、普通は応答の声がして、こっちが名乗ってからドアが開くが・・・
突然、無言でドアが通路側に押されてきた。

俺は少し後退して顔をドアから離した。
若い娘さんがまっ赤な口紅を塗った風で上目遣いで見ると、不機嫌に開けてくれた。
用件を伝えるとうんともすんとも言わず、「パパに電話しなきゃ・・」とスマホを取り出した。

「・・パパ、何処に居るのよ、早く来てよ、業者が来たわよ!!」パパを叱責してる。
俺はお父さんが着くまで待つのも芸が無いから、再度確認をして運び出しをすることにした。
当然なのだが、冷蔵庫に食べ物などが入ってる。

冷蔵庫ドアを開けて、片手でモノを嫌々風にノロノロと出してた。
その間に選択を取り外したりしながら運び出す。
するとコタツに座り彼女は手鏡を持って化粧し始める。

1Kの狭い室内、壁際に分解されたベットの枠などが立て掛けてある。
それを運ぶのにコタツは注意しないとぶつかるんだが、細心の注意を払って運ぶ。
彼女はどこ吹く風、全く関知せずに化粧に夢中だ。

最後の枠を運ぶ頃、お父さんがつ到着した。
「ったく、パパったら遅いんだから・・」と面罵したんだ。
俺は恐くてしょうがなかったね、でも優しすぎるお父さんは何も言わないんだ。