リサイクル親父の日記

第46話 友よ、元気で頑張ってくれよ

2015/03/26

今日は仙台市青葉区の川平という地区のアパートに出張買取に行った。
北環状線という仙台市北部を大きく囲む幹線道で交通量も多い。
店からは丁度対角線的な方角で、仙台の端と端のような位置関係だから時間がかかる。

街並みは整備されてるから走り易いし分かりやすい、だから直ぐに分かった。
101号室、レンジボードにテレビ台、ダイニングセットの3点だった。
4年前に買い揃えたが引越しで要らなくなったらしい・・・

若いお母さんと少年がいた、「学校休みになってよかったね」と話し掛けたら、
「いえ、今度入学なんですよ、それで福島に戻って・・・」と説明してくれた。
「福島って・・原発か何かで・・・でも、旦那さんの仕事はどうするんですか?」

3.11後に福島市からお母さんと息子さんの2人だけで自主避難してきた。
旦那さんは留まって自営業を続けてるが、入学を機に戻ることにした。
自主避難には一切の援助もないから生活費もままならないし、除染もそれなりに終わってる。

レンジボードもテレビ台もスムーズに搬出できた。
ところが、ダイニングテーブルが長方形でドアから出ない。
「確か・・このままで入れたんだけど・・」と彼女は途方に暮れる。

俺はその言葉を信じて、トライする・・・
ドアを外してみたり、テーブルを横にしたり、前後左右を試行するんだが・・・
すると、彼が「おかあさん・・逆さにしたら・・イイんじゃない・・・」とアドバイスした。

そして彼女も彼の意見に同調して、「・・逆さだったかしらねぇ~」
そこまで言われれば俺も、無理だと分かりきっててもトライした。
「イイ考えだったけど・・ボク、残念だったね」と伝えた。

テーブルを床に逆さにおいて、俺は脚の接続ボルトを抜くことにした。
トラックの工具箱を持ってきて、レンチを出してカチャカチャ緩め始めた。
彼は熱心に興味深げに見つめてる。

脚1本にボルト2本だから・・・名案が浮かぶ。
彼にもう一つあったレンチを渡して、「やってみてよ」と促した。
恐る恐る回すと、ボルトが緩みだし、彼は俄然張り切りだした。

俺も時間が短縮できて、外したテーブルと脚をトラックに積み込む。
その時には彼も俺の手下のように脚を持って運ぶ、その嬉々とした笑顔に彼女も微笑んでる。
積み込み終えて、トラックのゲートを仕舞おうとしてる時も彼は側で眺めてる。

「そうだ、ちょっとこのゲートに乗ってみない・・・」
躊躇してたが、彼女から許可がだされると、乗った。
ギュ~~ンとゲートが上昇、俺は彼が転ばないように細心の注意をしてた。

荷台に入ってから、再度ゲートに戻して、今度は降下させた。
もう俺らは完全なフレンドだった。
「それじゃ、福島に帰っても頑張ってね」