リサイクル親父の日記

第54話 知合いの土建屋のおっさんから・・・

2015/04/17

やっぱり話が合うのは同年代で似た環境や境遇だったりする。
彼は年が近くて、神奈川県で少し派手に土建屋をやってたそうだ。
10以上前に広げすぎた会社が倒産したため、宮城県まで流れてきた。

最初に俺の店に来たのが10年前、土木作業員として日給で働いてた。
サングラスにちょび髭、日焼けで茶褐色に焼けてた。
歩き方がふるってて、ガニ股で靴底を擦ってるから、ザーッ、ザーッってうるさくてしょうがない。

1年後に彼は土建会社を再度立ち上げた。
飲む打つが得意で、大手会社の担当者に取り入って仕事を優先的にもらえるようした。
当初こそ数人だった会社が、3.11東日本大震災後は大忙しになった。

10人以上になって、それでも手が足りなくて、下請けに1~2社使ってる。
俺は彼が来る度にでっかくなってる様を見てる。
軽トラが乗用車、ダンプもセルシオも手に入れた。

そして今度はある住宅地に二区画を現金で買った。
その古家を解体して更地にするので、古家の中に古本が残ってると連絡があった。
「大学教授でよ、いっぱい古い本があるからさ、まぁ、良かったら見に来てよ」

大学教授、古い本という言葉に魅かれたから、「あんたがそこに居るの、じゃ、直ぐ行くよ」
30分弱で着いたら、彼は重機を操縦して地ならしをしてる。
3~4人の従業員が前庭に生い茂った草木、特に竹を伐り払ってる。

「早かったね、こっち、こっち」重機を止めて彼は俺を招いた。
土足で家の中には行って、本棚が廊下や書斎に10台以上あった。
どれも学術書的な専門関係、一般的な物はほんの少し。

タイトルを呼んでもチンプンカンプン、しかし、無駄に終えたくもなかった。
古くてボロボロな本を4~5冊選んだ。
古本屋に直行したら・・・

「これじゃ・・手間かけても売りもにならないし・・・重かったでしょ、ごめんなさいね」
古本屋のおばさんは申し訳なさそうに説明してくれた。