リサイクル親父の日記

第55話 よほど惚れてんだろうか・・・

2015/04/18

引越し後に不要品を買取することがる。
室内が片付いてて、不用品が少々置いてあるので運び易い。
しかし、新しい家から来るので待ち合わせ時間ってのが決められる。

彼女は電話で言ってた、「仕事が休みの土曜日が希望です・・・朝がイイです」
待ち合わせは8時半、賃貸マンションに着いてオートロックのインターホンを鳴らすが、応答が無い。
10分程早いからしょうがないか・・・5分前・・・2分前・・・8時半、しかし、来ない・・・

ケータイにかけると、「直ぐ、直ぐ着きますから、あと1分で!」
数分後に赤い車が駐車所に入ると、小走りに彼女が近づいてきた。
「すい・・ま・・せ・・~~ん・・・」俺は挨拶を返した。

十メートル後方に夫らしき人がいて、実にゆったりと歩んでくるのだ。
ハットをかぶり、タスキ掛けの革セカンドバック(?)を吊るしてる。
30代中ほどの若夫婦と思うが、甲斐甲斐しく挨拶と会話する彼女にたいして、無愛想極まりない彼。

食器棚、ダイニングセット、ソファー、テーブルの買取なのだが、彼女しかしゃべらない。
まぁ、これもしょうがないと感じつつ、交渉がまとまったので運び出しにかかった。
俺らは一旦部屋の外に出して、それから通路、エレベーターと何回か行き来した。

その間に、彼女は車から掃除機や箒を持ってきて、後片付けをしてた。
エレベーターは俺らの邪魔になると気を使ったようで、階段を急いで昇り下ろしてた。
初めから最後まで2人を見てたが、彼は一切何も手をかけてない。

話すら、初対面の挨拶で声を発しただけで、それ以外は無言。
例えば、彼女が家具を示してる時も窓外をボンヤリ眺めてた。
ハットをファッションを乱したくないと言わんばかりだ。

2人の関係だから俺が何も言うことはないが、こんな関係もあるのかと内心唖然としてた。
今でも何もやらない彼は、想像ではあるがこれからも何もやらないと思う。