リサイクル親父の日記

第56話 以前の知り合いでしたよ

2015/04/21

買取依頼の電話はいろんな人からかかってくる。
紹介もあるし、でもダントツはフリーというか知らない人からがほとんどだ。
時々、知り合いからだったりすると、その時の方が驚いてしまう。

ちょこちょこ買いに来てる人であれば、名乗ってもらえば、或は声の調子で分かるから話が早い。
先日の電話は、相手も俺が俺だと分からずに、単にリサイクルしたくて電話したようだ。
その時の俺の気持ちの流れが自分でも可笑しい。

「冷凍オープンショーケースと冷蔵庫、約2年かな使ったの・・・幾らになるか見積に来て欲しいんだが・・・」
家庭用なら簡単に分かるが、どうも業務用らしいが、ピンとこないから・・・
「冷凍で・・・オープン?・・ケース???」と反復してたら、

「平台の冷凍でさ、オープンの・・・」相手の面倒臭がったのが分かる。
俺は、業務用じゃ逆に売り難いから、わざわざ見積に出向くのも無駄足になるなと判断した。
「当時20万円、冷蔵庫は90万円したよ・・・あんまり安いと考えるし・・・来て見てよ!」

「ところでどんな商売に使ってたんですか?」
「タラコの直売所で・・・でも、そこを閉めたから余ったんで工場に持って来てるの・・・」
やっと全容が見えてきた、やっぱりこれは難しいし、買取希望金額も高そうだった。

話し方や会話のトーン、調子などを総合的に考えると、ある程度の感触が分かる場合がある。
要は俺とて商売だから、労多く実利が少なければ魅力が無くなる。
そして見積日時と住所や名前を聞いた。

最後に相手が、「そちらは?」と聞いてきた。
「XXXといいますが・・・」時々、名前を聞かれることがるが、稀である。
「アレッ、XXXって、俺はさ・・・・昔さ、XX水産だよ!!!」

俺もピンときたし、当時をガッツリ思い出した。
それで、俺らは電話で延々と昔話から、この15~6年間について語り合うのだった。
彼のお父さんが亡くなって後を継いだが、年少でもあって大変な苦労をしたようだ。

俺も創業した会社を手放して四苦八苦したとか・・・そして、リサイクルショップを・・なんてね。
でも、「買取は売れ難いからかなり安くなっちゃうんで・・・」と答えるしかない。
知合いにリサイクルショップを吹聴したことは一度もなかった。

それ以前からの俺の主義だが、知合いには自ら売ったり買ったりしないことに徹してる。
売ろうとしかければ下手にならざるを得ないし、買ってあげると上から目線も嫌だ。
だから自然に任せておけばイイって思ってる。