リサイクル親父の日記

第57話 昨日の業者は安過ぎて・・・

2015/04/26

俺自身の査定の甘さに腹が立った。
時々そんな失敗をやらかすのが、俺の悪い癖なんだが、直せないのが現実。
そして、それは俺が飢えてる時にやってしまうのだ。

「アンティーク家具が5~6点、買取しますか?幾らぐらいで?」
彼女は声からして中年なのだが、少し上から目線の話し方かな。
お金持ちの人にはご本人が気づかないだろうが、普段から特に業者に対して威張る人もいる。(と、俺は想像してる)

業者として接する時に敏感に感じるのは俺だけじゃないだろうが、彼女たちは長年そうして生きてるからしょうがない。
呼ばれた家に着いて玄関を入って直ぐに分かる、確信できたのだ。
何処にも彼処にもアンティーク什器、洋物が全て配置されてて、用食器もしっかりデコレーションされてる。

リビングにダイニング、玄関も廊下も階段の隅にも、壁にも、嫌みはなくてセンスは良かったのが救いだ。
二階の3部屋も兎に角、全ての飾棚、花台、チェスト、クラッシックなアンティークの世界に浸れた。
重厚なダークブラウンの世界に圧倒された。

丸テーブル、楕円テーブル、椅子などがどうして要らなくなるんだろうと不思議に感じた。
「わたしね、ドンドン気に入ると買っちゃうので・・時々、処分しながら・・・」
軽く買ってしまう、それは金に不自由しない証拠でもある。

「これのステンドグラスのお願いするわ、アクセサリーもあるけど・・・」
そんな調子で買取品は増えた。
その都度、何処そこの店で幾らで買ったのよと説明してくれるが、べらぼうに高いんじゃないかと疑問も出る。

まあ、それでも店で売りたい物がそこそこあったから、頑張って「XXXXX円ですが・・」と査定した。
「もう少し・・・でも、結構よ、それでっ」ってことでまとまった。
運び出しが終わって、挨拶に戻った。

「昨日の業者は安過ぎて・・だから・・・来ていただいて良かったわ」
確かに、そうかもしれないが昨日の業者の金額が知りたくなった。
「たったXXXX円よ、XXXXってとこ、知ってます?」

そうして店に戻って、じっくり検品すると、
どれもがチャチイのに気づいたが、室内で見るのと明るい場所で見るのでは大きく違うことがある。
ムム・・・昨日の業者が正解だったんじゃないかと自分の目を疑ってしまった。