リサイクル親父の日記

第71話 さすがプロですねって感心されてしまい・・・

2015/06/17

出張買取は物によるが、基本的には1人、又は2人で行くのが普通。
それは物が多いか少ないかというよりも重いか大きいかで判断してる。
それに常時2人で行くのは無駄が出る場合もあるので、最近は1人でまかなうことが多い。

利府町は店から小1時間ほどかかるし、食器棚だけだったし、午後の指定だったから1人で行った。
ワールドカップのサッカー場「グランディ21」がある新興住宅地だった。
整然と区画整理されてるし家家がほぼ同じ年代なので、統一性も感じられる。

その家も屋根や外壁がリフォームで塗装されて間もないようでビカビカ光沢があった。
申し分ないほどの似たりよったり感が漂うので、俺は少し気分がウエットになる。
トラックを横ずけ路駐した、遅れて彼女は真っ白いワーゲンのビートルで帰って来た。

「すいません、待ちました?」
「いえ、ついさっき着いたばかりです」
広めの玄関と廊下に俺は救われた気になった。

リビングとキッチンがシンクを挟んで向き合ってるが、その出入り口は半間しかない。
「この食器棚・・どうですかね~~」
物自体は商品になりそうだったが、搬出方法で迷いが出た。

「・・えぇ、ここから入れましたけど・・・出せますかしら??」
その彼女の言葉を聞くまでもなく、最前から俺は搬出方法で思案してた。
半間先が仕切り壁となってるから、半間の広さ(奥行き)で90度ターンしないとならない。

それにしては食器棚の横幅が長く感じるが、俺は毛布の上に食器棚上部を乗せて、引っ張りながら少しずつターンを試みた。
1cmの隙間もなくターンは成功した(やったぁー!心で喝さいを上げた)
次に下部を同じ方法でターンするが失敗してしまう、どうして??

上部よりも下部が少し奥行きがあるのだ。
だからターンできなかった。
彼女は不安そうに「夫が1時間後には戻りますよ・・・」と言ってくれた。

「いえ・・大丈夫です、出せますから・・・」と宣言すると、彼女は訝った。
元の位置に毛布を戻して、食器棚を横に倒した。
再度、ターンに挑むと幅が狭くなった分今度は楽勝に通った。

「さっすがプロですね!!」彼女の感心した声が聞こえたのだった。