リサイクル親父の日記

第76話 ガクッ、ガクッ、ガクッと3回以上も・・・

2015/07/10

その日は日曜日の午前11時頃だった。
一応は土日祭日はお客さんも普段よりは多い場合が多い。
売上的には稼ぎ時であり、できるだけ在店して応対した方がベター。

多分、他所の店も似た感じで忙しい日は出張対応が難しい場合もあるだろう。
・・ではあるが、飛びこみでイイ話があれば、出張も厭わない。
物を売りに出す場合でも、切羽詰まって、又は、急に片付けをする人もいる。

お爺さんとお婆さんが一心不乱にレジに近づいてきた。
彼は俺を正視して切りだした。
「オラは・・・この近くの四朗丸団地の近く・・住んでるが、今、北海道に居る・・知合いから・・カギを・・・」

俺は項いて頷いて聞くしかないのだが、「・・いろいろ骨董が好きでな・・そこ家主、死んでしまってよ・・いらないって・・・」口角泡を吹いてる、その頃、お婆さんがやっとレジに着くのだ。
そして、彼女は彼の言ったことをリピートしだしたから、俺はガクツときた。

目の前の2人は俺を見つめて、「・・兎に角、今から直ぐ来てけろ、どうだイイガ・・・」
俺は2人が話した内容を反芻してみた。
知合いが亡くなって、その娘は北海道で暮らしてるから、家は解体するが売れるものは売ってしまうから、買う人を探したのだ。

彼は続ける「ほら・・あっちの大きなリサイクル屋は解体してたさ・・だから、ここに来たんだけどよ」
少し南の方にフランチャイズの大きな店舗のショップがあったが、1月前に移転のために閉まってた。
でもそれは仕方がない、向こうがメジャーであって俺の店は・・・でも、ガクッときたね。

場所は最初に聞いたところかと思ってたら、「岩沼なんだよ・・・住所?・・あそこにXXXあるべ、そこから中に・・・」
住所は覚えてなくて、道順をなんとか思い出せるくらい・・・
俺は住宅地図をおっぴろげて、「・・ここ・・・を・・どっちに曲がるの・・・この辺かね・・・あぁ、ここね」

「今日は日曜日で無理なんで・・明後日はどうですか?」
「どうしても今日の午後でも・・ダメがや・・・しょうがねぇや、じゃ明後日でイイや」
たったここだけの話なんだが、2人は耳は遠いわ、掴みどころない話し方だし、何度も反芻しながら行ったり来たりして・・・

「カメラもいっぱいある・・・時計もさ・・・人形もケースに入ってるし、立派だし・・・」
内心俺はババを掴んだ気がした。
俺の欲しい骨董品とは程遠いし、その日が来るのがちょっぴり怖くなった。