リサイクル親父の日記

第80話 ウソつかれちゃどうしようもないね

2015/07/24

「明日、朝早い方がイイから・・9時前くらいに来て欲しいんです」
平日の9時前までに行くとすると、普通の時間帯でも1時間要する。
朝9時までとなれば、通勤ラッシュなので軽く1時間半はかかるだろう。

でも出張買取は大切な仕入れであり、少々の苦労はいとわない。
「分かりました、9時までには行きます」
仙台市の隣・多賀城市だから4号バイパスを北上して、国道45号線に右折して・・・

やはりどこもラッシュで渋滞しまくり、約2時間前に店を出発したが、それでやっとやっとだった。
マンションのチャイムを押すと、子供の声が賑やかに聞こえてドアーが開く。
玄関に小さなサンダルが無数(?)に、大人の靴も数足重なるように乱雑にある。

そして真ん中通路を通ってリビングに着いた。
幼児が数人、夫婦がそれぞれ自由に振る舞ってる状況。
「ソファーに・・テレビ台・・・食器棚は・・・」

夫が示した物は眼を疑う物ばかかり・・・
黒色ソフトレザー張りなのだが端の肘掛け部分は真っ白く色が剥がれてるのだ。
座面部だって白色の筋が幾重にも色が剥がれてるのだ、これを売るって感覚がアンビリバボー!!

テレビ台はアナログ時代の物、真四角なのだが端という端が剥がれてめくれてる。
食器棚はいわゆるレンジボードであり、炊飯ジャーを乗せてるスライド板が何故か擦り切れてボードが剥き出し。
それに片付けもなされてないから全容は見えない・・だけどちょっと見でこれじゃ話にならない。

俺はひとつずつ断りを言った。
「これじゃ・・ちょっと・・・売るには無理ですから・・・」
一つ目、二つ目、三つ目と・・・

「ずいぶん厳しいね、何とかしてよ」食い下がる夫。
妻は「無理なの?やっぱ粗大ゴミしかないか・・・」とぼやいてた。
実は電話では、「4~5年しか経ってないし、状態もイイから・・・」

実は冷蔵庫も言ってたが、もうそれを言いだす気がとっくに失せてた。
嘘つきに振り回されてこれ以上嫌な思いはしたくない。
「・・今回は無理ですので・・」ドアーを後ろ手閉めて、フーッ吐息をついた。