リサイクル親父の日記

第81話 気持だけで結構ですよ・・・

2015/08/01

朝一番と言っても太陽がさんさんとしてるから、もう暑過ぎてる。
仙台駅東口方面の榴岡という場所、楽天スタジアムの近くでもある。
整備された大きな道路の新しい賃貸マンション13階。

気温がどんどん上がってた。
買取品は冷蔵庫からベットまでほとんど一式、だから点数が多い。
まとまった買取は大歓迎なのだが、運び出し作業も手数がかなりかかる。

部屋から行ったん通路に出して、エレベーターまで移動して、エレベーターで1階に下ろす。
この作業を10回くらい繰り返すから、数回往復すると汗がビッショリしてくる。
それ以降は汗が滝のように滴り、頭髪からも頬を伝い流れ落ちるし、首筋から胸にかけても同様。

俺は玄関のブランドゴム長靴、レインシューズって呼ぶのかしらが気になった。
「あれ~これはブランド品じゃないですか?高かったんですか?」って聞いた。
「アウトレットだから・・・8千円ちょっとだったっかしら・・・コーチです」

確かにスッキリ美人の彼女には似合いそうだった。
洗濯機や冷蔵庫を外した後を直ぐに掃除をしてる彼女は几帳面で清潔好きでもあるらしい。
部屋に着いた時には、玄関に小物を並べて準備してくれてたし、部屋からも玄関にも移動してくれてた。

作業は続いた。
俺も汗が出まくり、少々疲労感も出てたようだ。
「エ~ッと、これで全部出し終わりました、よろしいですか・・・」

「本当にありがとうございました、助かりました・・・」と言いつつ、
俺がドアーを閉めようとした時、彼女が「これで・・冷たい物でも飲んでください、用意してなかったので・・」
1千円札を四つ折りで差し出してた。

多分今日引っ越しを済ませる手筈だから、それに冷蔵庫も俺に売ってるから、何も無いし、ましてや飲み物がある筈がない。
しかし作業中の俺があんまり汗だくで気の毒になったのだ。
せめてもと思い、彼女は千円札を差し出そうと気遣ってくれたんだと想像した。

俺は当たり前だが固辞した、そして「気持だけ、気持だけで・・結構ですから・・」
そしてトラックに乗って岐路に着いた。
出発の時積んだペットボトルのポカリスエッとはもうぬるくなってたが、とっても気分は良かった。

こんだけ感謝されると、本当にこの仕事が誰かのためになってると実感できる。
暑さも吹っ飛ぶよ!