リサイクル親父の日記

第86話 久しぶりに・・・ヤッターッと思って

2015/10/29

リサイクルショップの原点は買取仕入れで決まると言っても過言じゃないね。
利は元にあり、商売は昔からそんな風に言われてるのももっともだ。
中古屋はそこが物凄く強調されてて、それ如何で全てが左右されてしまう。

だから中間利益や経費を如何に省くかは重要なのだ。
どんなに大きな組織であれ、無駄を省き、原価低減に最大の努力をしてる。
俺なんかが新品の物販をやったとて、特別なセンスもないのだから成功するはずが無い。

リサイクルショップをやる時に思考したことは今も変わりないようである。
脱サラの時も小さくてイイから、特別なもの、特殊なもの、真似されないようなことを目指したのだ。
その延長でリサイクルショップを起業したが、どうしたことか大競争時代に晒されてる。

だから日夜、イイ買取や仕入れが無いかとアンテナを高くしてる。
電話の内容が曖昧でも、実はとてもイイ物があったりする場合もある。
その雰囲気や背景を嗅ぎ分けるのも長年の経験がものを言う。

その彼女の拙い説明に可能性を見た。
建て坪150以上の洋館、廊下に油彩が無数に(少しオーバーか、20点ほど)、リビングにダイニングに洋間に和室に・・・滅多にいない金持ちの家だった。

「・・母が1人暮らし・・だから売却したんです・・・今見てもらったのは・・これらが余ってて・・・」
茶道具が5~60点、絵画が20点、掛軸や日本が数十点、アンティーク飾棚の珍品置物類、ブランド食器類・・・
「椅子も棚も・・・残れば処分しないと・・だから、できるだけ買取を・・・」

内心では喜びが溢れたが、できるだけ平静を保ってた。
「・・そうですか・・分かりました、高くは買えないかもしれませんが、全部持って行きますから・・・」
「わ~、助かるわ・・・わたしだけじゃ、どうしてイイか分かんなくて・・」

娘さんがお母さんのために片付けを手伝ってたらしい。
翌日、日時の連絡を待ってたが電話が来ない。
俺は最優先買取だから電話した。

「母が値段を聞いたらビックリしてしまい、今回は・・・」とあっけらかんと答えてた。
「・・そうですか・・じゃ、キャンセルですね」ガックリした俺は反省した。
彼女の対応があまりにも俺を楽観的にさせてくれたので、少々安目の査定をしてしまった。

買い値を考えれば、査定金額なんて話にならないと思うはしょうがない。
だから決定権者とのネゴでないと、実はこの手の買取はまとまり難いのだ。
娘さんが実権を持ってて決定権じゃと思ってしまったのが反省点だ。

・・・と、諦めた筈だった。
がしかし、数日後、改めて娘さんから電話があって、2~3日中に来て欲しいと・・・
俺、内心で、本当に内心で疑った。

「そ?そうですか、ところで内容的にどうですか、相当減ったりしたんですか?」
「少し減ったけど、増えた物もあるし、トラックで来た方がイイワね」
俺は3人でトラックで当日行った。

大きな観音開きの木製の扉を開けて、後ろ向きにトラックを敷地に入れた。
お母さんが減から出て来て、「すいません・・わざわざ、娘は立ち会えないって・・・」
俺は初めて会ったお母さんに挨拶をして言えに入った。

娘さんに渡されたというメモを見ながら、家の中を案内して物を示してた。
し、しかし、あの時、俺が言われた品が全く無いのだ。
油彩画も掛軸もアンティーク飾り物も何もかもが無いのだ。

僅かにあるのは、俺にとってはどうでもイイ物、査定金額なんて出せない物ばかり・・・
にもかかわらず、お母さんは横柄に「あのソファーもイイワよ、どうせ処分するんだし」
俺も呆れたし、耐えに耐えてたが、ジワジワと憤慨が怒りに変わってきた。

「あの~娘さんに見せてもらった物が全く無いので、話が違うんですが・・・」
「アラッ、わたし知らないわ、娘から聞いた分でしか・・・前のだって価値も分からないから、他人にあげちゃったし」
聞いててとっても虚しくなってきたし、金持ちのおふざけに付き合わされて踊らされて、自分が滑稽だ。

・・・
俺は、ここの残り物を持って帰る気はしない。
だが、この金持ちをこのままにしては気分がおさまらないし、正義感じゃなくて、下流の人の気持を知れッ!と思った。
「あんた方は金持ちだから、悪気がどうかじゃなくて、場当たり的に好きかって言って、例え人に迷惑かけても何とも思わない・・・

・・娘さんの言ったことを知らないと平気で言うし、自分に責任も何もない、まるで俺らが勝手に乗りこんでイチャモンつけてると言ってる、2度目の電話のこと、内容を確認してるんですよ、それもこれも知らいないって・・
金持ちだからってあんまりいい加減過ぎるし、たくさんの人を惑わしたり振り回したりして生きる筈だよ」