リサイクル親父の日記

第93話 アナターモ、カエリマスヵ~~

2016/02/28

たどたどしい日本語の喋りだったが、論調がしっかりしてるのだ。
穏やかな口調なので、受話器からだと尚更聞きとり難いし、俺の難聴気味のせいもあった。
「もうすぐ引越しします、冷蔵庫など買取して欲しいですが、どうですか?」

使用年数を聞くと、「エ~っと・・数年前です、だから3か4年前くらいだよ・・・」
少し表現に違和感はあるが意味は十分に伝わってくるし、買取が欲しい俺は相手に伝わるように話す。
「分かりました、見積に行きます、・・・それでは明日午前11時に行きます」

マンションの部屋に入ると、韓国製のカップ麺が目に入るし、香辛料も韓国製が多く見受けられた。
空気の匂いにキムチ臭が漂ってるし、俺には異国情緒に思えた。
冷蔵庫に洗濯機など家電は全てが韓国製なのは愛国心のなせる業か、それとも値段かしら?

「今度、国に戻りますよ、だから・・・分かったよ、それでイイですよ」
トントン拍子にまとまって日程も決まった。
その数日後にケータイに別なたどたどしい日本語での電話が来た。

話は買取の件でどんどん進んで住所を聞いてたら、従前の彼と同じマンションじゃないかと思った。
それにケータイに韓国人から電話が来るなんて、今現在はあり得ないのだ。
俺は、「どうしてケータイ番号分かったの? ソウさんから聞いたの?」と探った。

「ソーデス、ワタシモ、カエルノヨ、ダカラ・・・」
想像だが、単身赴任の若手韓国人社員が何人か母国に戻るということだ。
そして、最初の依頼者ソウさんが同僚に紹介したらしい。

「なるほどね、アナターモ、カエリマスヵ~~」と俺は笑いをこらえて陽気にたどたどしく答えてた。
日本政府と韓国政府も、俺らのようにフレンドリーになって欲しんだがね・・・
40年前に韓国釜山港に行ったの初めてだった。

荷役作業員達が船のハッチの上で昼飯をキムチで食べてた。
あの時の強烈なニオイを思い出すが、今じゃ俺はキムチも大好きになってる。
田舎育ちの幼い頃、隣の家が韓国人だった。

とっても親しく付き合いをした。
幼稚園に行ってなかった俺は年上の彼女達から字を教わったんだ。