リサイクル親父の日記

第96話 彼は買って・・・売って・・

2016/04/06

もう10年以上前からのお客さん。
中年の独身(?)で自転車で移動してる。
数年前に流し台、冷蔵庫、洗濯機を買った時、配達に行ったから、その様子が分かった。

店から数十分の旧市街だから、道幅が狭くって、トラックじゃ行けない。
自家用のワゴン車でチビチビ運ぶしかなかった。
Uターンも難しくて、近くの家の駐車場に入れさせてもらいながら回した。

それなりの平屋でどう考えても1人暮らし、全てが彼の思いのままになってた。
居間の壁、棚などには彼がウチで買った物が陳列されてる。
ほとんどに記憶があった、勿論他所で買った物もあるからあくまでもほとんどだけど・・・

ある時、いつも買ってるんだけど、「これ買取してくれないですか?」と1~2点持ち込んできた。
初めて見たのもなので、他所で買った物らしいが・・・
奇抜すぎたり、珍し過ぎたりと奇妙な物ほど売れ難いから、査定は反比例しちゃう。 

金額を伝えると、黙り込んでしまった。
「・・・だから、持ってた方がイイんじゃにですか・・・」アドバイスした。
後日来店した時に聞いた、「この間のヤツはどうしたんですか?」

すると、他所の店に持ち込んで売ったそうだが、持ち歩くのがしんどくウチよりも低い査定だが手放してた。
そして、ウチにあった似た物を買うのだった。
「えっ、あっちの帆船は売って・・・この帆船を買うんですか?」俺はこんがらがっちゃった。

ニヒルに「アレとコレは違うの、アッチは飽きたから、コッチは初めてだから・・・」
なんとも、驚くしかなかった。
価値観ってそれぞれ違うのは道理だが、簡単に言えば、立派な帆船を手放してボロっちい帆船を買った。

彼と知合って、俺は自分の固定観念を疑うようになった。
心理は何処にあるんだろう、或は、真理はないのかもしれない。
彼の心理や心情は知る由もないが、俺と彼の違いを知らされる。

このショックは彼と商売してるとときどき発生する。
その都度、俺は自省する。