リサイクル親父の日記

第99話 初めて会ったようには思えなくって

2016/04/13

どんな商売でもあることだろう。
親戚や友達、知人との商売での繋がり、でも俺は積極的にやらない。
売上が上がるから悪くないのだろうが、どうも気恥しくって平常心でやれない。

余計な気を使ってしまうので居心地が良くないし、セールストークもやりたくない。
値引きをした方がイイのか悪いのか、イイ人に思われたいとか、嫌われたくないとか、勝手にいろいろ考えが巡っちゃう。
実売と関係ないことに囚われてしまうのが苦手だ。

実際、リサイクルショップをやってからも、それ以前の商売でも一切知人にはアプローチしてない。
知合いが買いに来ることは大歓迎なのだが、やはりぎこちない対応しかできない。
5年前の3.11大震災の時、知合いの家が床上浸水、彼女はその夜をピアノの上で過ごした。

翌日避難所に行って、水が引いてから家を片付けたが、電化製品が全滅。
冷蔵庫と洗濯機を停電明けに配達した。
更に、彼女の娘さんが仙台で就職してアパートに住むので、そちらにも家電一式を収めた。

あの混乱のさなか、新品販売店も再開ができてなかった。
こんな時だから、彼女と娘さんの役に立ったらしい。
その彼女の別な娘さんが今度同棲することになったが、何せ予算が少ない(金がない)。

そこで又しても俺を思い出して、家電など一式を買ったら、その彼氏の実家のお婆さんの家が・・・
長らく独り暮らしで、今度施設に入居して、彼氏のおあさん、お婆さんの娘が片付けをしてる。
ついては、何か買取できればして欲しいという話・・・

そのおかあさんと俺はなんでもなくて、知合いの知合いのその又知合いって、ほとんど知らないに等しい。
ただ思うのは、知り合いを通じて少しだけ知ってるような気がしてるだけ・・・
少しだけの知り合い、擬似知合い、しかし、それが大事でもある。

7~8室の部屋数、どの部屋にも物が物物しく(言葉違うかな?)床にもテーブル上にもモリモリに盛り上がってる。
こんな片付けって実際大変なのだ。
押入れも、例えばサイドボードや茶ダンス、食器棚、兎に角、収納されてる場所から一度は出して検品しないとならない。

それだけでへばるが、実はほとんどが不要品、でも稀にイイ物があったり、捨てるにはもったい物がある。
それ以上に本当に大切な物、預貯金通帳やヘソクリ、家族の記念品が隠れてたりするんだ。
「・・・隅々まで確認してください・・・そして不要品だけになったら、俺が選別しますよ・・・」

現場で1~2時間探し方をしたりしてるんだけど、おかあさんと気脈が通じる感じがするんだ。
「これ、どうですか?わたしは要らないから」と推薦してくれたりする。
全てが廃棄物と化すよりは、誰かに使ってもらう方がイイに決まってる。